最近よく聞く「SaaSの死」や「アンソロピック・ショック(AIエージェントの台頭によるSaaSへの打撃)」。
正直に言うと、これまで私はこの言葉を少し軽く見ていました。 「いやいや、便利なSaaSがなくなるわけないでしょ」と。むしろ、株価が下がっている富士通やNECあたりは「逆張りで入るチャンスかも?」なんて考えたりもしていました。
しかし、中島聡さんの動画を見て、その認識がガラリと変わりました。これ、想像以上に深刻な構造改革が迫っているぞと。
「パーシート(アカウント数)課金」というビジネスの終焉
動画の内容を詳しく解説することはしませんが、核心は「パーシート(1人あたり月額いくら)という課金モデルの終わり」という点にありました。
これまでのSaaSは、「人間が使うためのUI(画面)」があり、使う人数分のライセンス料を取るのが常識でした。
しかし、AIエージェントが普及すれば、AIが直接APIを通じてデータベースを操作するようになります。人間がわざわざUIを開いてポチポチ操作する必要がなくなる。つまり、「人間が使うための画面=SaaSの価値」が根本から否定されるわけです。
こうなると、「1人いくら」という請求根拠が消滅してしまいます。これが「SaaSの死」の本質です。
今までのSaaSのPER計算では全く通用しなくなる可能性があると思います。
「最悪のシナリオ」における大手3社の企業価値
この視点で日本のIT大手3社(日立、富士通、NEC)を見ると、「逆張りで買いだ!」なんて呑気なことは言っていられません。
彼らの収益源も、結局は「人月商売」や「ライセンス・保守」といった、AIに代替されやすい領域に依存している部分が大きいからです。
AIを使ってSaaS部分の利益がはがれた場合、この構造変化がもたらす「最悪のシナリオ」のシミュレーションを計算して、下落してる理由に納得できました。
【AI影響による最悪の下値余地(概算)】
- 富士通: 国内最大のSIシェアを持つがゆえに、AIによる工数削減の影響を最もダイレクトに受ける。本業の利益がAI影響で20%減少し、将来不安からPERが15倍まで低下した場合、株価は1,800円台まで売り込まれるリスクシナリオも存在する。
- NEC: 官公庁需要が下支えになるものの、AIによる保守ライセンス収入の減少などが響けば、PBR 2.5倍水準の3,500円〜3,700円付近までは覚悟が必要。
- 日立: 3社の中ではAIリスク耐性が最強(巨大なインフラ事業と「攻めのAI」戦略があるため)。それでも、ITサービス部門の減益を考慮すると、4,300円〜4,500円が支持線となるか。
(※注:あくまで最悪ケースを想定した机上のシミュレーションであり、現在の株価水準とは異なります)
まとめ:構造変化の本質を見誤ってはいけない
SHIFTの損切りや、L is Bを半分売却した自分の判断は、動画を見る前だったのですが結果よかったと思います。
「アンソロピック・ショック」は一過性の嵐ではありません。ITビジネスの稼ぎ方そのものが根本から覆る、地殻変動です。
「下がったから逆張りで買い」という安易な発想がいかに危険か、痛感しました。この構造変化を乗り越えられる企業とそうでない企業の選別は、まだ始まったばかり。
表面的な株価の動きに惑わされず、ビジネスモデルの本質的な強さ(AI時代にどう稼ぐか)を見極めていかなければと、改めて気を引き締めました。
(※投資は自己責任でお願いします。)


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