AIに四季報2000ページを分析させたら、地獄を見た。「スクショ2000枚&手動コピペ分割」という超アナログな裏側と、その成果

AI×四季報分析

投資家のバイブル、会社四季報。 皆さんは毎回、全ページ隅から隅まで読んでいますか?

約2000ページにも及ぶ膨大な情報量。全てに目を通して分析するのは、専業投資家でも至難の業です。「ここを最新のAI(Gemini)にやらせたら、最強のスクリーニングができるんじゃないか?」

そんな軽い気持ちで始めたプロジェクトが、まさかあんな地獄のアナログ作業になるとは、この時の私は知るよしもありませんでした…。

今日は、AIを使って四季報を完全分析しようと試みた記録と、その裏にあった泥臭すぎる作業の実態を共有します。

壮大な構想と、まさかの「スクショ地獄」

我的計画はこうです。 「四季報の全ページをAIに読み込ませ、プロの視点で分析させる」。

口で言うのは簡単ですが、ここには大きな壁がありました。どうやって紙(または電子書籍)のデータをAIに渡すかです。

テキストデータが手元にあるわけではないので、私が取った手段は…

「全ページ、スクリーンショットを撮る」

これしかありませんでした。四季報のページをめくってはスクショ。その数、約2000枚。

もっといい方法ないのかな。kindleそのままPDFにできればいいのに。

AIの限界と、泥臭すぎる分割作業

「苦労して撮った2000枚の画像、これをPDFにまとめて、AIにドーンと投げれば終わり!」

そう思っていたのですが、AIには一度に読み込める情報量(トークン数)に限界があります。2000ページ分のデータを一気に渡すと、AIが処理しきれずパンクしてしまうのです。

そこで私が何をしたかというと…。

  1. 2000枚の画像をPDF化する。
  2. それを、AIが読み込めるサイズ(約200ページずつ)に7〜10分割する。
  3. AIのチャット欄に、「これがパート1のデータだ!読み込め!」「よし、次はパート2だ!」と、延々とコピペして食べさせていく。

「俺は、最新のAIを使って高度な分析をしているはずじゃなかったのか…?」

やってることは、ひたすらデータを切り貼りしてAIにエサを与え続けるだけの単純作業。この膨大なアナログ作業に、途中で何度も心が折れかけました。AIを活用するために、人間が一番泥臭い作業をしているという皮肉。

この「データ注入作業」だけで、1時間くらいかかりました。四季報通読よりは効率いいのか。

AIへの指令:「利益成長の”変化”を見抜け」

地獄の作業を経て読み込ませた後、いよいよAIへの分析指令です。 今回は、単に「業績が良い会社」を探すのではなく、少しひねったプロ視点のオーダーを出しました。

【今回の分析テーマ】

  • 利益の成長率に明確な「変化(モメンタム)」が見られる企業を探せ。
  • かつ、その変化が一過性ではなく「持続可能」であると判断できる根拠を示せ。

ずっと低空飛行だったのに急に浮上した企業や、成長が加速した瞬間の企業を捉える狙いです。これは、人間がやると膨大な時間がかかるスクリーニングです。

分析結果:自分では絶対選ばない銘柄たち

AI(Gemini)は、私が注入した膨大なテキストの海から、指示通りの銘柄をリストアップしてくれました。

出てきたリストを見て、私は唸りました。 「なるほど…自分なら、食わず嫌いで絶対選ばない銘柄ばかりだ」

普段の自分なら見落としてしまう、時価総額が大きめの成熟企業や、地味なセクターの銘柄が多く含まれていたのです。AIには「好み」や「先入観」がありません。純粋にデータに基づいて「変化」が起きている企業を抽出してきました。

【AIが選定!利益成長に「構造的な変化」が見られるベスト10銘柄】 (※順不同。投資推奨ではありません。あくまでAIの分析結果です)

  1. ダイダン (1980) 【建設】
    • 建設好況+業務効率化による構造的な利益率改善。
  2. 日清食品HD (2897) 【食料品】
    • 値上げ浸透による利益率回復と、海外事業の加速。
  3. 北越コーポレーション (3865) 【パルプ・紙】
    • 洋紙の縮小を、段ボール原紙や機能材の成長でカバーし利益体質へ変化。
  4. 日本触媒 (4114) 【化学】
    • 高吸水性樹脂の市況回復に加え、高付加価値品へのシフトが進む。
  5. TOTO (5332) 【ガラス・土石】
    • 海外(特に米中)での高付加価値トイレ販売が好調で利益率が向上。
  6. 日本製鉄 (5401) 【鉄鋼】
    • 構造改革(損益分岐点引き下げ)と鋼材需要回復による劇的な変化。
  7. 三菱重工業 (7011) 【機械】
    • エナジー、防衛宇宙事業の拡大。事業ポートフォリオの入替による収益性向上。
  8. アシックス (7936) 【その他製品】
    • ランニングブームを背景にした高機能品好調と、EC化率上昇による利益率改善。
  9. 三井住友トラストHD (8309) 【銀行】
    • 金利上昇局面での資金利益改善に加え、手数料ビジネスが拡大。
  10. オリックス (8591) 【その他金融】
    • 非金融事業(再エネ、不動産など)の収益貢献が高まり、利益構成が変化。

まとめ:可能性は「プロンプト」次第。次なる挑戦へ

今回の実験で、データ準備のアナログ作業がいかに地獄かは骨身に沁みました(二度とやりたくないレベルです笑)。

しかし、それと同時にAIの可能性も強く感じました。2000ページをフラットな視点で横断分析する力は、人間には真似できません。

今回は「利益率の変化」というテーマで聞きましたが、AIへの指示の仕方、つまり**「プロンプト」を変えれば、全く違う切り口で面白い銘柄が発掘できるのではないか?** という期待が膨らんでいます。

例えば、「財務はボロボロだが、特定の技術分野で独占的なシェアを持ち始めた企業」とか、「経営陣が交代してから資金の使い方が劇的に変わった企業」といった聞き方もできるかもしれません。

あのスクショ地獄の見返りとしては十分すぎる成果でした。 次は、より鋭い分析を引き出すための「有効なプロンプト」を探求して、またAIによる四季報分析に挑戦してみたいと思います。

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