【GNI(2160)分析】「34億円の赤字転落」ニュースの正体。SOTPで見る適正株価と、F351という爆発力

GNI

私のポートフォリオの主力でもあるバイオベンチャー、ジーエヌアイグループ(2160)の業績下方修正しました。

なんと、従来予想の約120億円の黒字から一転、34億2,000万円の最終赤字へと見通しが修正されました。

「えっ、GNI終わった?」「やばい、投げ売りだ!」

そう思った方も多いかもしれません。実際、明日の株式市場では、このヘッドライン(見出し)に反応した短期的な売りが出る可能性は高いでしょう。

しかし、結論から言います。 私は、このニュースを見て「狼狽売りするような内容ではない」と冷静に受け止めています。

なぜなら、今回の「赤字」の中身を精査すると、企業の根本的な価値(ファンダメンタルズ)が毀損したわけではないことが分かるからです。

今日は、この複雑な業績修正のカラクリと、私が考えるGNIの「本当の価値」について解説します。

赤字の正体は「会計上のズレ」

なぜ、いきなり150億円以上も利益が吹き飛んで赤字になったのか。

その最大の理由は、子会社である創薬ベンチャー「Cullgen(カルジェン)」の米国Nasdaqへの上場(IPO)プロセスが遅れたことにあります。

GNIは当初、2025年中にCullgenが上場することを見込んで、それによって発生する約228億円もの莫大な「株式評価益」を今年の利益に計上する予定でした。

しかし、中国当局の承認手続きなどに時間がかかり、年内の上場が間に合わなくなった。その結果、計上予定だった228億円の利益がごっそり剥落してしまったのです。これが赤字転落の主因です。

ここで重要なのは、以下の2点です。

  1. キャッシュ(現金)は減っていない: 今回剥落したのはあくまで「評価益」という会計上の数字です。会社から現金が出ていったわけではありません。
  2. 上場は「中止」ではなく「延期」: Cullgenの上場プロセス自体は継続しています。つまり、今回消えた利益は、将来(2026年期以降)に繰り越されただけと解釈できます。

さらに、上場が遅れたことで、Cullgenの研究開発費(約40億円の赤字)が引き続きGNIの連結決算に取り込まれることになったのも、見かけ上の利益を押し下げた要因です。しかし、これは将来の成長のための必要な先行投資です。

つまり、今回の赤字は「本業がダメになった」からではなく、「上場のタイミングがずれたことによる会計上のテクニカルな要因」がほとんどなのです。

SOTPで見る「GNIの本当の価値」

では、この赤字ニュースを踏まえて、現在のGNIの株価(約2,600円前後)は高いのでしょうか、安いのでしょうか。

GNIのように複数の事業を持つ会社を評価する際、「SOTP(Sum-of-the-Parts)」という手法が有効です。これは、各事業の価値を個別に計算して足し合わせる方法です。

ざっくりと計算してみましょう。

① 米国上場子会社「Gyre Therapeutics」の価値 GNIが約70%を保有する米国の製薬子会社です。現在のNasdaqでの時価総額をベースに計算すると、GNIの持分価値は約735億円ほどになります。

② 創薬ユニコーン「Cullgen」の価値 今回上場が遅れたCullgenですが、合併契約時の評価額をベースにGNIの持分を計算すると、保守的に見ても約168億円の価値があります。(競合他社と比較すれば、もっと高い評価も可能です。)

③ 医療機器事業(MedTech)の価値 米国で人工骨などを製造販売する安定収益ビジネスです。毎年過去最高売上を更新しており、この事業だけでも約220億円の価値があると試算できます。

これら3つを足し合わせると、企業価値は約1,123億円となります。 これを現在の発行済株式数で割ると、1株あたりの理論株価は約2,020円となります。

この2,020円という数字は、後述するF351のような将来の爆発的な成長を抜きにした、現時点で見えている資産だけの保守的な価値です。

だからこそ、はっきり言えます。 もし今回の赤字ショックで市場がパニックになり、株価が2,000円を割るようなことがあれば、それはもう「絶対買い」の水準でしょう。

「あれ、今の株価(2600円)より安いじゃん」と思った方、鋭いです。 現在の市場価格には、上記に含まれていない「ある巨大な期待値」が乗っかっているのです。

隠された爆発力:新薬「F351」

その期待値の正体こそが、肝線維症治療薬候補『F351(ヒドロニドン)』です。

中国にはB型肝炎由来の肝線維症患者が膨大に存在しますが、有効な治療薬はまだありません。F351は、この領域で画期的な新薬になる可能性を秘めています。

すでに中国での最終臨床試験(Phase 3)を完了し、当局から「優先審査」の対象として認められる可能性も示唆されています。順調にいけば、2026年前半にも新薬承認申請(NDA)が提出される予定です。

もしこの薬が承認されれば、ピーク時の売上高は10億ドル(約1,500億円)を超える「ブロックバスター」になると予測されています。

このF351の成功期待を株価に織り込むと、適正株価は一気に3,800円〜4,500円のレンジまで跳ね上がります。アナリストの目標株価が高いのも、このF351の成功を前提にしているからです。

結論:私は「静観(ホールド)」します

まとめます。

今回の「34億円赤字」のニュースは、短期的にはネガティブなサプライズであり、株価が一時的に急落する可能性はあります。特に、SOTPのベース価値である2,000円付近を試す展開はあるかもしれません。

しかし、中長期的に見れば、企業の成長ストーリーは何も変わっていません。 本業の既存薬(アイスーリュイ)や医療機器事業は過去最高売上を更新し続けており、「稼ぐ力」は健在です。そして何より、2026年前半にはF351の承認申請という、会社のステージを数段引き上げる巨大なカタリストが控えています。

私自身は現在、ほぼフルポジション(レバレッジなし)の状態なので、もし株価が2,000円を割ったとしても、残念ながら積極的に買い増しする余力はありません。

ですが、今回のニュースは「会計上のズレ」が大半であり、将来の成長性を否定するものではないと判断しています。したがって、保有しているポジションを慌てて売るような内容ではないと考え、冷静にホールド(静観)を続けるつもりです。

(※投資は自己責任でお願いします。)

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