【銘柄分析】Arent(5254)が仕掛ける怒涛のM&A戦略:建設DXプラットフォーマーへの野望と勝算

Arent

以前、このブログで「建設DXの雄」としてアレント(5254)を分析し、「いいな」と紹介させていただいたのを覚えていらっしゃいますでしょうか?

あれから、地合いの変動もありつつも、株価は一時、紹介時点から約10%上昇する場面もありました。

さて、そんなアレントですが、最近は怒涛の勢いでM&A(合併・買収)を進めており、ニュースになることも増えています。

「5社ぐらい買収したらしいけど、大丈夫?」「利益が減ってるみたいだけど、今後は上がるの?」

といった疑問や不安を持つ投資家の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、株価も動意づいている今だからこそ、アレントのM&A戦略を徹底解剖し、これらの疑問に明確な答えを提示していきたいと思います。

結論:アレントのM&Aは「買い」なのか?

結論から言うと、アレントのM&A戦略は、中長期的な企業価値向上に資する極めて合理的かつ野心的なものであり、現状の株価調整局面は投資家にとってエントリーの好機となる可能性があります。

その理由は以下の4点に集約されます。

  1. 「いい買い物」をしている: 財務的規律を守り、割安なニッチトップ企業を買収することで、買収直後から企業価値を向上させる「マルチプル・アービトラージ」を成立させている。
  2. 強固な「業務シナジー」: 買収した企業は、アレントの既存事業と補完関係にあり、設計から施工、管理までをデータで繋ぐ「建設DXプラットフォーム」構築に不可欠なピースである。
  3. 「利益率40%」は実現可能: アレントが持つ高付加価値化ノウハウと、SaaSモデルへの転換により、買収企業の収益性は劇的に改善する余地がある。
  4. 将来の利益成長は「約束」されている: 足元の減益は、M&Aに伴う一時的な費用や先行投資によるものであり、これらが剥落する2026年以降、利益はV字回復する公算が高い。

アレントがM&Aを急ぐ理由:「2024年問題」と建設業界の危機

アレントがこれほど急ピッチで買収を進める背景には、建設業界が直面する「2024年問題」があります。働き方改革関連法の適用により、建設現場の長時間労働は持続不可能となりました。人手不足と高齢化も深刻化しており、デジタル技術による生産性向上(DX)は待ったなしの状況です。

しかし、建設業界のDXは、多重下請け構造と、業務ごとに異なるベンダーのレガシーソフトウェアが使われていることによる「データの分断」が障壁となり、遅々として進んでいません。

アレントはこの「分断」を解消し、業界全体の生産性を底上げするために、自社開発だけでなく、有力なレガシーソフトウェア企業を買収し、それらを連携させる「アプリ連携型プラットフォーム」構想を打ち出したのです。

買収企業の詳細:アレントは何を手に入れたのか?

アレントが買収した主な企業は以下の通りです。

  • 構造ソフト: 建築構造計算ソフトウェアの老舗。設計データの「心臓部」を握る。
  • PlantStream: プラント配管自動設計3D CAD。世界市場を狙える「虎の子」。先行投資フェーズにあるが、将来の成長ドライバー。
  • スタッグ: 上下水道申請CAD。ニッチトップ企業で、高収益化のポテンシャルが高い。
  • 建設ドットウェブ: 工事原価管理システムで導入実績No.1。「カネ」のデータを握ることで、プラットフォームの価値が飛躍的に向上。
  • アサクラソフト・レッツ: 地域に根ざした積算・原価管理ソフト会社。アレントの商圏を全国に拡大。

これらの企業は、いずれも特定の領域で高いシェアや独自の技術を持つ「隠れた名企業」です。アレントは、これらの企業を傘下に収めることで、建設プロジェクトの全工程をカバーする強力な製品ポートフォリオを構築しました。

財務分析:なぜ「いい買い物」と言えるのか?

アレントのM&Aは、財務的な観点からも非常に巧妙です。アレントは、市場から高い評価(高PER)を受けている自社の株式をテコに、相対的に低いバリュエーションで放置されていた企業を買収しています。これは「マルチプル・アービトラージ」と呼ばれる手法で、買収直後からアレントの一株当たり利益(EPS)を向上させる効果があります。

また、建設ドットウェブの買収に見られるように、アーンアウト条項(業績連動型追加支払い)を活用することで、リスクを抑えつつ、買収企業の成長意欲を引き出す工夫も凝らされています。

業務シナジー:点が線になり、面になる

買収した企業は、それぞれが建設プロジェクトの異なる工程を担っています。これまでは、それぞれのソフトが独立して存在していましたが、アレント傘下で連携することで、**「設計データを変更すれば、瞬時に構造計算が走り、積算金額が更新され、申請書類が自動生成される」**といった、シームレスなデータ連携が可能になります。

さらに、アレントの強みであるAI技術や、キーエンス出身者が率いる強力な営業部隊を投入することで、買収企業の製品価値や販売力は飛躍的に向上するでしょう。

利益率40%への道筋:社長の言葉は現実になるか?

鴨林社長が掲げる「利益率10%の会社を買って40%にする」という目標は、決して夢物語ではありません。

  • ビジネスモデルの転換: 売り切り型からSaaS(サブスクリプション)型へ移行することで、安定した収益基盤を構築し、利益率を向上させる。
  • プライシング戦略の見直し: AI機能などの付加価値を加え、バリューベースの価格設定を行うことで、単価を引き上げる。
  • 販管費の効率化: 直販体制への移行やバックオフィス業務の統合により、コストを削減する。

これらの施策を組み合わせることで、買収企業の収益性は劇的に改善する余地があります。

将来の利益見通し:Jカーブを描く成長へ

足元の決算で利益が減少しているのは、M&Aに伴う一時的な費用や、先行投資フェーズにあるPlantStreamの赤字などが原因であり、事業のファンダメンタルズが毀損しているわけではありません。

これらの要因が解消される2026年以降、アレントの利益はV字回復し、その後はプラットフォーム効果によって飛躍的な成長(Jカーブ)を遂げると予想されます。

まとめ

アレントの一連のM&Aは、建設業界のDXプラットフォーマーになるという壮大なビジョンに向けた、極めて合理的な戦略です。一時的な利益減少に惑わされず、その本質を見極めることが重要です。

免責事項

本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断は、ご自身の責任において行ってください。

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