今日は、kindleで安くなっていて最近読んで非常に勉強になった一冊を紹介したいと思います。
債券運用のプロである堀井正孝氏が書かれた『改訂版 金利を見れば投資はうまくいく』です。
この本、ただの金利の解説書ではありません。「金利」を、景気や市場の転換点をいち早く察知するための「炭鉱のカナリア」として活用し、投資の勝率を具体的に高めるための実践的な指南書でした。
私自身、相場の大きな流れを読む上で「金利」への理解は避けて通れないと感じていたので、非常に刺さる内容でした。
特に重要だと感じたポイントを4つにまとめてシェアします。
1. 金利は売買対象ではなく、投資の「羅針盤」
著者は、「投資で損をする9割の人は、相場の転換点に気づかない」と指摘しています。耳が痛いですね(笑)。
私たちは普段、株価や為替の値動きばかりを追ってしまいがちです。しかしプロは、金利を「売買の対象」としてではなく、「今、景気サイクルのどこにいるのか」を判断するための「ツール(羅針盤)」として使っているそうです。
特に、長短金利差や政策金利の動きを追うことで、相場の大きな流れを掴む。この視点を持つだけで、投資の景色がガラッと変わると感じました。
2. 景気の「春夏秋冬」を知り、先回りする
これが個人的に一番面白いと思った部分です。景気には「冬・春・夏・秋」のようなサイクルがあり、それぞれの季節で「勝てる資産」が違うという話です。
- 春(回復期): 長期金利が上昇し始め、株価が大きく上がる。先進国株式や、銀行・小売株の出番。
- 夏(過熱期): 金融引き締め(利上げ)が本格化。米ドルが強くなり、ハイイールド債などが注目される。
- 秋(減速期): 景気の陰りが見え始める。ディフェンシブ株(公益・医薬品)や国債へシフトする時期。
- 冬(後退期): 金利急低下、株価下落。REITや先進国株式が次の底打ちの準備を始める。
今がどの季節なのかが分かれば、次にどのセクターを仕込めばいいのか、自然と見えてきますよね。この「先回り」の思考法は絶対に身につけたいところです。
3. 客観的なデータで「危機」を察知するスコア
感覚ではなく、客観的なデータで判断するためのツールも紹介されています。
政策金利、長短金利差(逆イールド)、長期金利トレンド、社債スプレッド、米ドル指数。この5つのデータを「スコア化」し、その合計がマイナス、特に「-6」を下回ると、過去に大きな景気後退が来ているそうです。
これはまさに、大損を避けるための強力なサインになります。自分のポートフォリオを守るための武器として、ぜひ活用したいですね。
4. 一筋縄ではいかない「日本市場」の特殊性
本書は2022年時点の情報がベースですが、世界情勢だけでなく、日本市場特有の難しさについても深く解説されています。
日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)によって金利が人工的に抑え込まれてきたため、教科書通りの金利セオリーが通用しにくい点。そして、原材料高による「悪い円安」が家計を圧迫し、簡単に利上げできない日本の実情。
我々が主戦場としている日本市場の歪みを理解する上でも、非常に有益な視点が得られました。
今の日本株は「春」なのか?
この本の理論を今の日本市場に当てはめてみると、面白いことが見えてきます。
現在、日本ではYCCの修正観測などもあり、長期金利がじわりと上昇しています。それと同時に、株価も堅調に推移し、上昇トレンドを描いています。
本書の定義で言えば、「長期金利が上昇し始め、株価が大きく上がる」局面は「春(回復期)」にあたります。
もちろん、日本特有の金融緩和事情などもあるので単純にはいきませんが、この理論に従えば、今はまだ上昇サイクルの入り口、あるいは中腹にいるのかもしれない。そんな風に現状を捉える視点を持つことができました。
まとめ:「雰囲気投資」から卒業するために
この本は、「SNSで話題だから買う」「みんなが騒いでいるから売る」といった雰囲気投資から卒業し、「金利という客観的なデータに基づいて景気の季節を見極め、プロのように先回りして資産を配分する」ための教科書だと感じました。
特に、景気後退(冬)の一歩手前で、いかに早く「冬支度(資産の見直し)」ができるか。それが資産を守り、次のチャンスで大きく勝つための鍵になります。
今後の投資戦略を練る上で、手元に置いて何度も読み返したい一冊です。
(※投資は自己責任でお願いします。)


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